วันอาทิตย์ที่ 26 เมษายน พ.ศ. 2558

Draft Constitution of the Kingdom of Thailand (Japanese version) Part 1 by Dr. Piyawon Shon and Ms Wattamon Boonyadhigandhi

タイ王国憲法草案[1]

.......................................

総則




第一条
タイ国は一体、不可分の王国である。

第二条
タイ国は、国王が元首であられる民主主義制度統治をとる。

第三条
主権はタイ国民に属する。元首である国王は本憲法の規定に基づき国会、内閣及び裁判所を通じてその主権を行使する。
国会、内閣、裁判所、さらには憲法に基づく機関及び国の機関は法の原則に従わなければならない。

第四条    
人間としての尊厳、人の権利、自由及び平等性は保護される。

第五条
タイ国民はその出生、性別もしくは宗教の如何によらず本憲法の保護を平等に受ける。

第六条
憲法は国の最高法であり、本憲法に抵触もしくは相反する法律、規則もしくは規約は施行することはできない。

第七条
本憲法に適用すべき規定がないときにおいては、国王を元首とする民主主義制度の統治慣習に従って行い、あるいは判断する。
       前項にしたがって行い、あるいは判断するにあたり問題が生じた場合、衆議院、参議院、両院、内閣、最高裁判所、最高行政裁判所、あるいは憲法に基づく独立機関は、権限義務にしたがって職務を遂行するために、憲法裁判所に裁定を求めることができる。ただし、最高裁判所および最高行政裁判所は、訴訟の審理・判決の場合であり、かつ、最高裁判所総会あるいは最高行政裁判所判事総会の決議があるの場合においてのみ、裁定を求めることができる。

第一編
国王と国民


第一章
国王


第八条
国王は崇敬される地位にあられ、なにびとも侵すことはできない。
いずれかの方法において国王を訴追する、もしくは訴えることは、なにびとであってもこれをなすことはできない。

第九条
国王は仏教徒であらせられ、宗教の擁護者であられる。

第一〇条
国王はタイ国軍の大元帥の地位にあらせられる。

第一一条
国王は位階及び勲章を下賜する王権を有せられる。

第一二条
国王は適格者から枢密院議長一人及び一八人以下の他の枢密顧問官を選任され、枢密院を構成せられる。
枢密院は国王が下問する全ての王事について国王に提言する任務及び本憲法の規定に基づく他の任務を有する。

第一三条 
枢密顧問官の選任もしくは解任は王意に従う。
国会議長は枢密院議長の任命もしくは解任の勅命に副署する。
枢密院議長は他の枢密顧問官の任命もしくは解任の勅命に副署する。

第一四条(枢密顧問官の兼職禁止)
枢密顧問官は衆議院議員、参議院議員、憲法裁判所判事、行政裁判所判事、選挙委員、会計検査委員、国家汚職防止取締委員、国会オンブズマン・国家人権委員、常勤もしくは有月給の公務員、国営企業職員、国の他の職員、もしくは政党の党員、職員であってはならず、いかなる政党の支持も表明してはならない。

第一五条 
枢密顧問官は就任前に以下の言句の宣誓を国王に対してなさなければならない。
「私(宣誓者氏名)は国王に忠誠を尽くし、国と国民のために誠実に任務を遂行し、あらゆる点においてタイ王国憲法を擁護し、遵守することを誓います」

第一六条 
枢密顧問官は死亡、辞任もしくは国王の解任の勅命により退任する。

第一七条 
侍従及び侍従武官長の任命及び解任は国王の意思に従う。

第一八条 
国王が王国内に不在の時、もしくは何らかの事由により王務をなし得ない時は、摂政一人を任命し、国会議長はその勅命に副署する。

第一九条(摂政の国会承認)
国王が第一八条に基づく摂政を任命しない場合、もしくは国王が未成年である、あるいは他の事由により摂政を任命できない場合は、枢密院が摂政に就任すべき者一人の氏名を国会に提出し、その承認を求める。国会が承認した時、国会議長は国王の名においてその者を摂政に任命することを公示する。
衆議院の任期が満了している、もしくは解散している間は参議院が第一段に基づく承認について国会としての任務を遂行する。

第二〇条(枢密院議長の摂政代行)
第一八条もしくは第一九条が規定したところに基づく摂政がいない間は、枢密院議長が暫定的に摂政を務める。
第一八条もしくは第一九条に基づき任命された摂政が任務を遂行できない場合は、枢密院議長が暫定的に摂政の任務を代行する。
第一段に基づき枢密院議長が暫定摂政を務める間、もしくは第二段に基づき枢密院議長が暫定的に摂政の任務を代行する間、枢密院議長は枢密院議長としての任務を遂行することはできない。その場合、枢密院は枢密顧問官一人を暫定的に枢密院議長代行に選出する。

第二一条(摂政の宣誓)
「第一八条もしくは第一九条に基づき任命された摂政は就任前に以下の言句の宣誓を国会でなさなければならない。
「私(宣誓者名)は国王(国王名)に忠誠を尽くし、国と国民のために誠実に任務を遂行し、あらゆる点においてタイ王国憲法を擁護し、遵守することを誓います」
衆議院の任期が満了している、もしくは解散している間は参議院が本条に基づく国会としての任務を遂行する。

第二二条 
第二三条の適用下において、王位の継承は仏暦二四六七年王室典範の王位継承に係る規定に従う。王位継承に係る仏暦二四六七年王室典範の改定増補は国王のみの権限とする。
国王が何らかの意見を示された時、枢密院は王室典範の改定増補案を起草し、国王の裁可を求めるために奏上する。国王が承認し、署名した時、枢密院議長は国会議長に通知し、国会議長は国会に通知するとともに勅命に副署する。王室典範の改定増補は官報で公示した時に法律として施行することができる。
衆議院の任期が満了している、もしくは解散している間は、参議院が第一段に基づく了承について国会としての任務を遂行する。

第二三条 
王位が空位になり、国王が王位継承に係る仏暦二四六七年王室典範に基づき王位継承者を任命していた場合、内閣は国会議長に通知し、国会議長は了承を得るために国会を召集する。国会議長は王位継承者に国王への即位を要請し、国民に公示する。
王位が空位になり、国王が第一段に基づく王位継承者を任命していなかった場合、枢密院は第二二条に基づき王位継承者名を内閣に提出し、内閣は承認を求めるために国会に提出する。その場合、王女の名を提出することもできる。国会が承認した時、国会議長は王位継承者に国王への即位を要請し、国民に公示する。
衆議院の任期が満了している、もしくは解散している間は、参議院が第一段に基づく了承、もしくは第二段に基づく承認について国会としての任務を遂行する。

第二四条(王位空位時と摂政)
第二三条に基づき王位継承者への国王への即位要請及び公示がなされていない間、枢密院議長が暫定摂政を務めるが、第一八条もしくは第一九条に基づき摂政が任命されている間、もしくは第二〇条第一段に基づき枢密院議長が摂政を務めている間に王位が空位になった場合は、その摂政が王位継承者への即位要請もしくは王位継承者の即位があるまで引き続き摂政を務める。
第一段に基づき任命され、引き続き任にある摂政が任務を遂行できない場合、枢密院議長が断定的に摂政の任務を代行する。
枢密院議長が第一段に基づき摂政を務める、もしくは第二段に基づき摂政の任務を代行する場合は第二〇条第三段の規定を適用する。

第二五条(枢密院議長代行)
枢密院が第一九条もしくは第二三条第三段に基づく任務を遂行しなければならない、もしくは枢密院議長が第二〇条第一段または第二段、あるいは第二四条第二段に基づく任務を遂行しなければならないが、枢密院議長が空席であり、もしくは任務を遂行できない場合、枢密院は枢密院議長の任務を代行させる、もしくは第二〇条第一段または第二段、あるいは第二〇条第三段の任務を遂行させるために枢密顧問官一人を選出する。

第二章
国民


第一節
市民および市民の義務

第二六条 
タイ国民は市民である。
市民は、憲法および法律に遵守し、他人の権利および自由を尊重し、平等の原則にのっとり、正義を守り、良きイデオロギーを持ち、規則正しく、自己の義務を意識し、社会や公共に対する責任を持ち、団結して、懸命に自立しなければならない。
市民は、国内の人の間、あるいは、異宗教の間の衝突を促すような行動をしてはならない。また、差別行為・対立・暴力を促すような行動をしてはならな。
国は、国王が元首であられる民主主義制を国民にすすめ、国民の民主主義に関する価値観を高めるためにすべての国民に対して教育をしなければならない。

第二七条 
市民は次のような義務を負う。
(一)国家、宗教、国王、国王が元首であられる民主主義制を守らなければならない。
(二)国家を防衛し、軍隊に参加し、国家の利益を保全し、法律に遵守すべきである。
(三)納税。
(四)公益を考慮したうえでの政治的権利を有する。
(五)国家の汚職の撲滅に努め、災害時の協力、伝統を守り、地域の知恵を活かし、国家の美術と文化および天然資源を守らなければならない。

第二八条 
国家倫理議会(National Moral Assembly)、市民議会(Citizen Assembly)、国民による国権行使検査機関、憲法に基づく他の団体に参加する市民は献身的にその任務を遂行すべきであり、法律の定める限りにおいてある程度適切な費用を受けることができる。

第二節
人の権利・自由
―――――
第一款
総則
―――――

第二九条(権利・自由の保護)
本憲法が明確に、もしくは間接的に保障する、あるいは憲法裁判所の決定により保障する人間としての尊厳、権利及び自由は保護され、あらゆる法律の制定、法律の施行及び法律の解釈において国会、内閣、裁判所及び国の他の機関を直接的に拘束する。
国のあらゆる機関による権限の行使においては本憲法の規定に基づく人間としての尊厳、権利及び自由を尊重しなければならない。

第三〇条 
本憲法の保護する人の権利は、実現のために国家および国家機関に、任務遂行を義務付けるが、当該任務は財政の及ぼす限り必要に応じて最大限に努める。


第三一条 
人は本憲法に基づく国王を元首とする民主主義制度統治の転覆、もしくは本憲法が規定する方法に拠らない国の統治権の奪取のために、本憲法に基づく権利及び自由を行使することはできない。
いずれかの者もしくは政党が第一段に基づく行為をなした場合、その行為を知った者は憲法裁判所にその行為の裁定を求める権利を有する。憲法裁判所は、憲法裁判所および憲法裁判手続法に関する憲法付属法令に基づいて、当該行為の中止を命じるか、他の命令をすることができる。ただし当該行為者の刑事訴訟には影響しない。

第三二条(権利・自由の行使)
他人の権利及び自由を侵害せず、憲法に反せず、もしくは良俗に反しない限りにおいて、人は自己の人間としての尊厳を主張、もしくは権利及び自由を行使することができる。
本憲法が保障する権利もしくは自由を侵害された者は、本憲法の規定をもって裁判権を行使し、もしくは裁判における争点とすることができる。
人は国に本章の規定を遵守させるため直接的に裁判権を行使することができる。権利及び自由の行使において、いずれかの件で本憲法が保障する権利及び自由の行使の詳細を規定する法律があれば、その件における権利及び自由の行使は法律が規定したところに従う。
本憲法が保障する権利および事由であるがそれにしたがって法律が制定されていない場合、当該者は直接的に裁判権を行使することができる。
国は、人の適切な権利行使の保障、促進、支援及び助力をしなければならない。

三十三条 
憲法が保障する人の権利及び自由の制限はこれをなすことはできない。ただし法律の規定に基づく権限に依拠し、本憲法が規定した目的に合致し、必要なだけ制限する場合はその限りではないが、その権利及び自由の本質に影響を及ぼしてはならない。
第一段に基づく法律は一般に適用しなければならず、何らかの場合もしくは何らかの者に限定して適用することはできない上、その法律の制定権限を付与した憲法の規定を示さなければならない。
第一段及び第二段の規定を法律の規定に基づく権限により制定される規則・規定にも準用する。

第二款
人権


第三四条(人の平等性)
人は法の下において平等であり、等しく法律の保護を受ける。
男女は平等な権利を有する。
出生地、民族、言語、性別、年齢、障害、心身の状態、身分、経済もしくは社会的な地位、信仰、教育、もしくは憲法に抵触しない政治信条の違いにより人を不公正に差別することはできない。
人の他人と同様な権利及び自由の行使の振興もしくはその障害除去のために国が講じる措置は、第三段に基づく不公正な差別とはみなさない。

第三五条(公務員の権利・自由)
軍人、警察官及び公務員、国の他の職員、国の機関の従業員もしくは被雇用者である者は、政治、能力、規律もしくは倫理に係る部分についてのみ法律もしくは法律の規定に基づく権限により制定される規則・規定により制限される場合を除いて、一般人と同様に憲法に基づく権利及び自由を有する。

第三六条(虐待・残虐行為の否定)
人は生命及び身体の権利及び自由を有する。
残酷もしくは非人間的な方法による虐待、残虐行為もしくは処罰はこれをなすことができない。
ただし裁判所の判決に基づく、もしくは法律が規定するところに基づく刑罰は本条の規定に基づく残酷もしくは非人間的な処罰とはみなさない。
裁判所の命令もしくは令状がある、または法律の規定に基づくその他の事由がある場合を除き、逮捕及び拘留をなすことはできない。
法律の規定に基づく事由がある場合を除き、第一段に基づく権利と自由を損なう身体検査もしくは何らかの行為をなすことはできない。
第一段に基づく権利と自由を損なう行為がある場合、被害者、検察官、もしくは被害者に資する他の者はそうした行為を止めるよう、または取り下げるよう命じてもらうために、ならびに相当の方法もしくは生じた被害の治癒を裁判所に訴える権利を有する。

第三七条(刑事罰)
人はその行為時に適用されている法律により犯罪と規定され、罰則が規定されている違法行為をなした場合を除き、刑事罰を受けることはなく、その者の違法行為時に適用されている法律が規定する刑罰より重い刑罰を科すことはできない。
刑事事件においては被疑者もしくは被告人には罪がないものとまず推定する。
有罪判決が確定するまではその者を犯罪者として扱うことはできない。
人は、犯罪を犯したかのような発言をするよう誘導されないことを保護されている。

第三八条(家庭内プライバシーの保護)
人の婚姻・家庭内の権利は保護される。
人は名誉、名声ならびにプライバシーは保護される。いかなる方法によるかを問わず、人の家庭内の権利、名誉、名声及びプライバシーを侵害する、もしくは損なう著述または映像の公開は、公共の利益のための場合を除き、これをなすことはできない。
人は自己に係る個人情報により不当に利益を追及することから法律の規定に基づき保護を受ける権利を有する。情報網を用いた個人情報の活用は法律の定める限りにおいてのみすることができる。

第三九条(居住の自由)
人は居住の自由を有する。
人は平穏に住居に居住し、それを占有することを保護される。
裁判所の命令もしくは令状がある、もしくは法律の規定に基づくその他の事由がある場合を除き、占有者の同意なしに住居への立入、もしくは家宅捜索をなすことはできない。

第四〇条(通信の自由)
人は合法的な方法により通信する自由を有する。
通信物の検閲、押収もしくは開封及び通信物の内容を察知するためのその他の行為は、国家安全保障、公序良俗の維持のための法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。

第四一条(信教の自由)
国民の義務に反せず、公序良俗に反しない時、人は宗教、宗派もしくは宗教上の教義を信仰する完全な自由を有し、教理に基づく行為もしくは自己の信仰に基づく儀式をなす自由を有する。
第一段に基づく自由の行使において、人は他人と異なる宗教、宗派もしくは宗教上の教義の信仰、または教理に基づく行為あるいは信仰に基づく儀式をなすことを理由に、国から正当な権利を制限される、もしくは利益を損なわれることがないよう保護される。

第四二条(言論の自由)
人は、意思伝達の自由およびそれを広める自由を有し、言論、著述、印刷、出版及びその他の方法による意思伝達の自由を有する。
第一段に基づく自由の制限は、国家安全保障、他人の権利・自由・名誉・名声・家庭内の権利もしくはプライバシーの保護、または公序良俗の維持、国民の心身の荒廃の防止または阻止のための法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。

第四三条(財産権・遺産相続権の保護)
人の財産権は保護される。個人の財産の利用の際は公益についても考慮すべきである。その権利の範囲及び制限は法律の規定に従う。
遺産相続は保護される。相続権は法律の規定に従う。
不動産の収用は、公共利益のための法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできず、不動産収用法は収用の目的を明記し、不動産の使用期間を明確に規定しなければならない。また、法律の規定に基づき所有者及びその収用により損害を受ける全ての権利者に相当の期間内に公正な補償金を支払わなければならない。補償金は、市場における通常の売買価格、入手方法、状態及び所在地、ならびにその収用による損害、収用される不動産の利用から国及び被収用者が得られる利益を考慮して公正に規定しなければならない。規定された当該期間内に、その目的のために使用しなかった不動産は元の所有者もしくはその相続人に返還しなければならない。

第四四条(司法手続上の権利)
人は司法手続において以下の権利を有する。
(一)簡単、便利、迅速、あますところなく、平等に低費用で司法手続にアクセスできる権利。
(二)人は自己の訴訟において正当、迅速、公正な審理を受ける権利を有する。とりわけ、児童、青年、女性、高齢者、障害者、社会的に恵まれない者は適切な心理を受けるよう保護される。
(三)少なくとも公開で判決を受ける権利、事実関係を知り十分な書類閲覧の権利、自己の事実関係の陳述・反論及び証言の権利、裁判官もしくは判事に対する忌避の権利、裁判官団もしくは判事団による審理を受ける権利、及び決定・判決・命令の事由を知らされる権利の件で基礎的な保障を有していなければならない審理手続における基礎的権利。
(四)訴訟における被害者、被疑者、原告人、被告人、当事者、利害関係者もしくは証人は、司法手続において適正な扱いを受ける権利を有する。
(五)刑事事件における被害者、被告人及び証人は国から必要かつ相当の保護、助力を受け、法律の規定に従って必要な報酬、補償、費用を受ける権利を有する。被告は正当、迅速、公正な捜査または訴訟審査を受け、十分な反論機会、証言・証拠の検査と通知、弁護士による訴訟における助力、保釈を得る権利を有する。
(六)本憲法の保護する権利を剥奪された場合に損害の解決救済を受ける。

第四五条
タイの国籍を有しないがタイに居住している者は、経済、社会、文化に関する権利を法律の定める限りにおいて享受する。

第三款
市民の権利

第四六条(児童・青少年の保護)
家族は国から、一定の水準に達した平穏な生活を送り、食・衣料・住居を受ける権利を法律の定めるかぎりにおいて有する。
母は、国から特別な保護を受ける権利を有し、国および使用者から一定の福祉を受ける権利を有する。
児童・青少年は、児童・青少年の参加に留意することにより安寧な暮らしにおける権利、環境に応じた能力に基づく心身、知性面での開発を受ける権利を有し、児童・青少年の真の参加をさせなければならない。
児童・青少年及び家庭内の者は暴力及び不正な行為から国によって保護される権利、当該事由のあるケースにおけるリハビリテーションを受ける権利を有する。
家庭内の団結の維持、児童・青少年および家庭の無事と最大の利益のために法律の定める場合を除き、児童・青少年および家庭内の者の権利を制限してはならない。
       児童・青少年・女性・そして、年齢が六十才以上で収入のない者は、法令の定めるところにより、国家から適切な公共の福祉などを受ける権利を有する。

第四七条(移動・居住地の自由)
人は王国内において移動する自由及び居住地を選択する自由を有する。
第一段に基づく自由の制限は、国家安全保障、公秩序、国民の福祉、都市計画、もしくは青少年福祉のための法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。
出生した時からタイ国籍を取得した者から剥奪することはできない。タイ国籍は法律の定めるところにより消滅する。市民の意思に反してなんらかの装置をとる場合は無国籍な者にしない場合に限る。
タイ国籍者の国外追放もしくはタイ国籍者の入国禁止はこれをなすことはできない。

第四八条(言論の自由)
マスメディアは公共の利益のために、国民に正確で充足した全面で責任を持った情報を知らせるための職業をすることを保護される。
本条に基づく自由を剥奪するための新聞もしくは他のマスメディアの閉鎖命令はこれをなすことはできない。
新聞もしくは他のマスメディアにおける報道または言論の全部または一部の禁止、もしくは本条に基づく自由の剥奪のための何らかの方法による干渉は、制定された法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。
職員に事前に報道を審査させることは戦争の時をのぞいてはすることはできず第三段により制定された法律によってのみすることができる。
政治職者が自己の名で、もしくは他人を代わりに事業主または株主にして、あるいは事業主または株主と同様に直接または間接的に経営できるようなその他の方法により新聞、ラジオ、テレビもしくは通信事業の事業主または株主になってはならない。
国による民間の新聞もしくはその他のマスメディア事業助成のための資金その他の財産の提供は、これをなすことはできない。国による広告あるいは他のメディアの購入は法律の定めるかぎりにおいてのみすることができる。

第四九条(報道人の自由)
民間の新聞、ラジオ、テレビもしくはその他のマスメディア事業の従業員または被雇用者は、憲法の制限下において報道及び言論の自由を有し、官公庁、国の機関、国営企業もしくはその事業主の命令下に置かれることはないが、職業倫理に抵触してはならず、権利、自由及び公正の保護のために団体を結成する権利、職業団体の自主管理メカニズムを有する。
マスメディア事業における官公庁、国の機関もしくは国営企業の公務員、従業員または被雇用者も、第一段に基づく民間の従業員または被雇用者と同じ自由を有する。
第一段または第二段に基づく者の公共的テーマにおける報道もしくは言論への妨害または干渉となる政治職者、国の職員もしくは事業主による直接または間接の行為は、法律もしくは職業倫理遵守のための行為である場合を除き、不当な権限行使であるものとみなし、効力を持たない。
第四八条により保護されるメスメディアの自由、職業基準の促進、そしてマスメディア被害者の審議のためにマスメディア事業職員に関する法律をマスメディア従業員の保護のために制定する。

第五〇条(国家資源としての周波数)
ラジオ、テレビ及び通信に使用する周波数は公益のための国の通信資源とする。
周波数を配分し、ラジオ、テレビ、通信および情報に関する事業を監督する国の独立機関を一機関設置する。それは、国の安全保障、国家と地方の最大の利益、恵まれない人の教育、文化、他の公益を考慮すべきであり、国家政策計画および法律の規定に従う。
第二段に基づく任務遂行においては、教育、文化、安全保障及びその他の公益についての国及び地域水準における国民の最大利益ならびに公正な自由競争に留意しなければならず、検査可能で、公共マスメディアの運営において民衆セクターの参加があるようにしなければならない。
本条における事業の所有者は市民である必要があり、法律の規定にしたがって、第四八条の定める結果にならないようにしなければならない。

第五一条(学問の自由)
人は学問の自由を有する。
教育研修、授業、研究及び学術的研究発表は、国民の義務もしくは良俗に反しない限り保護される。
裁判例の分析、裁定、裁判所の命令、そして、それらの分析・解説の頒布は、学問的で誠実に行われた場合保護される。
第五二条(教育の権利)
人は良質に整備する基礎教育を平等に、小学から高等学(正規・技術)受ける権利を有する。
貧困者、障害者もしくは困窮者は費用を負担することなく、第一段の他人と同等の教育を受けるため国の支援を受けなければならない。
職業または民間機関の教育研修、国民の選択的教育、自己学習及び生涯学習は国から保護及び奨励を受ける。

第五三条(集会の自由)
人は平穏かつ武器を所持しない集会の自由を有する。
第一段に基づく自由の制限は、公共集会の場合、公共地を使用する国民の便宜の保護、国の安全保障、公序良俗、衛生福祉のための法律の規定に基づく権限による場合を除き、必要のときのみこれをなすことはできない。

第五四条(結社の自由)
人は協会、組合、連盟、協同組合、農民団体、民間団体、民間開発団体もしくはその他の団体を結成する自由を有する。
公務員及び国の職員は一般人と同じ結社の自由を有するが、公務運営の効率性及び公共サービスの継続性に影響を及ぼさないようにしなければならない。ここに法律が規定するところに基づく。
第一段及び第二段に基づく自由の制限は、国民全体の利益の保護、もしくは公序良俗の維持、または経済上の独占防止のための法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。

第五五条(政党結成の自由)
人は本憲法が規定する国王を元首とする民主主義制度統治の方法に基づき、国民の政治意思を形成し、その意思に基づく政治活動をなすために政党を結成する自由を有する。
政党の組織、活動及び規則は国王を元首とする民主主義制度の統治基本原則に沿っていなければならない。

第五六条(職業の自由)
人は営業もしくは職業及び自由で公正な競争の自由を有する。
第一段に基づく権利の制限は、国家安全保障もしくは国家経済、公共事業面での国民保護、公序良俗、職業秩序管理、消費者保護、都市計画、天然資源または環境の保全、国民福祉、もしくは独占防止あるいは競争における不公正是正のための法律の規定に基づく権限による場合を除き、これをなすことはできない。また、そのような制限は必要以上の独占を引き起こすものであってはならない。
労働徴用は、緊急の災害防止に係る法律、もしくは国が戦争または戦闘状態にある間、あるいは非常事態宣言または戒厳令施行中に実施できるとする法律の規定に基づく権限による場合、判決・裁判の命令にしたがった場合を除き、これをなすことはできない。

第五七条
人は法律の規定に基づき労働における適切で水準に適合した安全及び福祉の保障、職業上の衛生、ならびに労働期間中及び退職後の生活保障を受ける権利を有する。

第五八条
       市民は法律の規定により次のような公衆衛生を受ける権利を有する。
(一)健康維持に良い影響を及ぼす環境に生活すること。
(二)良質で、基準に沿った公衆衛生のサービスを受ける。
(三)国からの正確で最新の健康に関する情報
       法律の規定により、公衆衛生に関する職業の遂行において被害を受けた市民は法律の適切な保護を受ける。

第五九条
市民は、公共の施設にアクセスする権利を継続的・平等的に有し、国は常に公共施設を更新しなければならない。

第六〇条(消費者保護)
消費者としての人の権利は事実である情報を得ることにおいて保護され、損害の解決救済を受けるために訴える権利、ならびに消費者の権利保護のためグループ化する権利を有する。
消費者保護のための法律及び規則の制定における国の機関の審査プロセスにおいて提言する、ならびに諸措置の規定に係る提言をなし、消費者保護である行為もしくは不作為を検査、報告する任務を果たす消費者代表で構成する独立組織を設置する。ここに、国は当該独立機関の業務に予算支援する。

第六一条(情報公開原則)
人は官公庁、国の機関、国営企業もしくは地方行政体が占有する公共のデータまたは情報を知る権利を有する。ただしその情報の公開が国家安全保障、国民の安全、もしくは他人の保護されるべき利害、個人情報を損なう場合を除く。ここに法律の規定に従う。

第六二条
人は苦情を申し立て、迅速な期間内に審査結果の通知を受ける権利を有する。
人は自己及び地域コミュニティに係る環境の質、健康、生活の質もしくはその他の重大な利害に影響を及ぼすプロジェクトまたは何らかの事業の許可あるいは実施前に、官公庁、国の機関、国営企業もしくは地方行政体から情報、説明及び事由を得る権利、及び当該の件における審査のために関係機関に自己の意見を示す権利を有する。
国家政策計画、経済開発計画、不動産収用、都市計画、土地利用区域規定、及び国民の重大な利害に影響する規則の制定にあたって、国は実施前に国民から広く意見を聴くプロセスを設ける。

第六三条(住民の文化・環境保護への参加)
コミュニティとしてまとまった人々、地域コミュニティ、もしくは伝統地域コミュニティは、地域及び民族の善良な慣習、伝統的知識、もしくは芸術・文化を保護または復興し、自然資源及び環境、生物多様性の調和的かつ持続的な管理、保護及び利用に参加する権利を有する。

第六四条(環境保全への参加権)
自然資源及び生物多様性の保全、ケアと利用、及び自己の健康、福祉または生活の質に危険を及ぼさないよう通常かつ持続的な生活が送れるための環境の質の保護、振興、維持における国及びコミュニティと協力する人の権利は相当の保護を受ける。
環境の質、自然資源及び健康面でコミュニティに重大な影響を及ぼすおそれのあるプロジェクトまたは事業は、これをなすことはできない。ただしその実施前に環境の質への影響の研究及び評価、住民及び利害関係者からの意見聴取プロセスがあり、国家政策計画レベルでの環境評価との調和、ならびに環境及び健康面の民間環境団体代表及び環境、自然資源、健康研究の高等教育機関代表からなる独立機関が当該実施前に提言した場合は、その限りではない。
法人である官公庁、国の機関、国営企業、地方行政体もしくは国のその他の機関に本条規定に基づく任務を遂行させるため訴えるコミュニティの権利は保護される。

第三款
政治の参加


第六五条
       国家・地方・地域レベルの市民は、公共の政策について知る権利・意見の表明をする権利を有する。それは、平穏な生活、天然資源、健康に関する法案に関する意見を含める。
       公共政策を計画する国の機関は第一段の規定する市民の参加を取り組む装置を設けるべきである。
       本条による市民の権利に関する手続きは法律をもってそれを規定する。

第六六条
選挙権を有する市民は一万人以上の連名により、国会が本憲法の規定に基づき法令案を審議するよう国会議長に請願する権利を有する。
市民の提出する法律の場合、法律の起草・審査する国家の機関はそれを支援する。
第一段に基づく法令案の審議において、衆議院及び参議院はその法令案提出で連名した選挙権を有する国民の代表に法令案の原則について説明させ、当該法令案審議のための特別委員会は全委員数の三分の一以上がその法令案提出で連名した選挙権を有する国民の代表者で構成されるようにしなければならない。

第六七条(国民投票)
選挙権を有する市民は、憲法改正、あるいは、国家あるいは国民の利益に係るものとして国民投票を命じた勅令がある場合、国民投票において投票権を有し、国民投票の原則及び方法は国民投票についての憲法付属法令に従う。
第一段に基づく国民投票は、別途の法律の規定をもって定める場合を除き、多数決により決定するための国民投票、あるいは、内閣に提言する国民投票の場合でも良いとする。
本憲法でそのように定めている場合を除き、国民投票は、国民投票の可能な事業に関する場合のみすることができ、憲法に反するようなこと、人、あるいは人のグループに関しては国民投票することはできない。

第六八条
人は、本憲法が規定する方法によらない国の統治権の奪取につながる行為に対し、平和的な方法をもって抵抗する権利を有する。

第四節
検査の参加

第六九条
       国の機関、民間の機関、もしくは国庫を利用して事業を運営する機関は、国家の安全保障・公開を法律が規制する場合を除き、事業に関する情報の公開・国民に検査する機会設ける義務を有する。

第七〇条
       国家汚職防止のために、市民は、次のような項目についての情報の入手を求めることができる。
       (一)政治的地位にある者、国の機関、国家機関の職員の職務。
       (二)国の機関の国庫金の利用。
       (三)すべてのレベルの政党・政治団体の募金に関する事項。
       (四)国家汚職に関わることが信ずるに値する国の機関との取引を有する人もしくは法人の支出。その手続きは憲法の定める汚職に関する機関が行うものとする。
第一段の情報公開は、法律の定める、国家安全保障、国民の安全に関わる場合、公開することはできない。
憲法の定める汚職防止機関に情報公開をした市民およびマスメディアは保護される。
       第一段の権利を不公正に濫用した場合には法律の規定にしたがってその法的責任を有する。

第七一条
     各県の市民の汚職防止活動の参加を促すために、各県に当該県民十五名以上から構成する市民検査議会を設ける。中には、市民議会議員定員数の四分の一以内の議員からも構成すべきであり、NGOなどからの議員も議員数の四分の一いないで構成する。
       議員の資格・禁止様態については法令に従う。
       市民検査議会は、自己の県内における次のような項目についてのみ権利義務を有する。
(一)公正な衆議院・参議院・地方の選挙。
(二)地域の職務。
(三)国の機関の支出の汚職。
(四)人の権利・自由の剥奪行為。
(五)倫理違反行為もしくは利益相反行為。

第七二条
選挙権を有する市民は二万人以上の連名で、国会議長に申し立て、第二五三条に基き、罷免決議を請求、政治的地位あるいは公務に就く権利を剥奪する権利を有する。ただし、最低の基準として、請求する事項を明確に項目で述べなければならない。
第一段に係る規定・条件などは法令に従う。




[1] 本資料は、日本貿易振輿機構(ジェトロ)バンコクセンター編の「2007年タイ王国憲法」をもとに、連絡の上、変更を加えて作成されたものです。逐語訳ではなく、日本人および日本企業のタイ王国憲法草案に対する理解を助けるための参考資料として作られました。

ไม่มีความคิดเห็น:

แสดงความคิดเห็น